久しぶりに広東省の珠海市に行ってきた。珠海は私が中国で最も好きな町のひとつだ。南国の雰囲気で、とても開放的なのに、なぜか治安が良い。経済が発達しているのに、どことなくのんびりした雰囲気で、くつろげる。要するに、良いとこ取りの街だ。
珠海は、広東省の南部に位置し、マカオに隣接する。湾を挟んで対岸は香港。海に囲まれ、市内には146の島があり、珠海市の海岸線の総延長は690キロにも及ぶ。
もとは辺鄙な農村だったが、1981年に小平の開放政策で深圳、スワトウ、アモイとともに経済特区に指定され、以後は多額の外国投資を集めて経済が急速に発展した。マカオに隣接するのでマカオ資本が強いが、日本からの投資も多い。有名なところではキャノンの工場がある。住民の多くは近年に内陸から流入してきた人たちで、街では広東語よりも普通語を聞くことが多い。特に多いのは湖南省、湖北省、四川省の人らしい。
![]() 珠海の一番の特徴は、市のはずれに「拱北口岸」があること。中国語で「口岸」とは、往来可能な国境のことを言う。拱北口岸には、中国とマカオを行き来するためのゲートがある。口岸付近はマカオと広東省を往来する人々でいつも賑わっている。 ![]() 「歩歩高ホテル」 珠海に行ったときは、いつも歩歩高ホテルに泊まる。珠海ではここ以外には泊まったことがない。安価で、まあ清潔で、オーシャン・ビューなのが良い。3つ星ホテルなので、公式には中級ホテルの格付けになるが、実態としては2.5星くらいか。今回は蛇口のフェリーターミナルの旅行社に頼んで予約してもらった。10階のツインルームが1泊230人民元。自分で電話で聞いたら238元だったので、旅行社を通したほうが少し安い。10階の部屋の窓からは海とマカオが見える。3連休の中日でこの値段なら高くない。 ![]() 実は、この歩歩高ホテルは、数年前までは、女の子が宿泊客相手の商売をするために2階の喫茶店に集まることで有名だった。全盛期は毎日数十人もいたらしい。しかし、何年か前にその喫茶店が閉鎖され、今は普通のまっとうな3つ星ホテルになっている。 珠海はもう夏 この週末の時点で、珠海では半そでTシャツがちょうどよい気温だ。やはり南国。東京ではまだコートを着ている人もいるのに。ちなみに、前日に通過した香港では朝6時台のバスでもすでに冷房をつけていた。まさに南国、タイみたいだ。 深圳や香港から珠海に来る高速船は、珠海の九洲港に着く。九洲港から街のヘソである拱北口岸へは、船会社の無料送迎バスで15分くらい。歩歩高ホテルはこの拱北口岸から徒歩で25分くらい戻ったところにある。徒歩25分はちょっと遠いが、途中の街が面白いので、25分くらいは歩いても平気だ。ちなみに、「途中の街」というのは、悪名高き「蓮花路」だ。 ![]() ![]() 「蓮花路」の鶏たち 「蓮花路」は、拱北口岸を起点として珠海市内に伸びる商店街で、端から端までゆっくり歩いて20分くらい。たぶん珠海では一番にぎやかな通りだ。「蓮花路」の名物は「オープン・バー」と「鶏」。「鶏」が判らない人のために説明しておくと、「鶏」は中国語ではニワトリだが、売春婦を指す一般的な隠語でもある。ちなみに、男性の売春夫は「鴨(アヒル)」と言う。 で、「蓮花路」には、この鶏さん連中が、いつも数十人うろうろしている。数年前の全盛期には何百人もいた。実は私もその全盛期を知っているが、あの頃は本当にすごかった。共産主義国の光景とは思えない。フィリピンとか、タイとか、そういった開放的な東南アジアの町のようだった。「蓮花路」だけでは収まらなくて、近くの大通りにも溢れ出し、何百人もの鶏さんが夕方から翌朝まであの狭いエリアを徘徊していた。年齢はみな若く、10代半ばから20代前半くらい。自動車でピックアップしにきた客を見つけると、1台に20羽くらいの鶏さんが一斉に群がって、それはもうすごい光景だった。 しかし、それはもう昔の話。 インターポールに指名手配 「蓮花路」は何年か前から警察の取締りが厳しくなり、徘徊している女の子が警察のトラックに積み込まれて大量に連行されたりした結果、街に立つ鶏さんの人数は激減した。 また、数年前には、日本の関西の建築会社の社員旅行で、100人以上の日本人が珠海で鶏を買いまくり、あまりのご乱行を警察に通報されて、一網打尽となった。中国で売春に興じる日本人の姿が中国全土に大々的に報道された。このときも取締りが強化され、鶏さんは街に立てなくなった。ちなみに、この社員旅行の幹事は、なんとか日本に逃げ帰ったものの、中国政府によってインターポールに指名手配された。いまだに指名手配中である。インターポールのウエブサイトによれば、指名手配の罪状は「Sex Crimes」とのこと。もちろん、彼らは一生中国には入れないだろう。というか、足を踏み入れた時点で人生終了か。 キャノン様のご乱行 そういえば、珠海でご乱行と言えば、忘れてはならないのがキャノン様。珠海のキャノン様の駐在員の夜のご乱行は、遠く上海まで聞こえてくるほどであった。最近は少しおとなしくしているのだろうか。確か、私の定宿の歩歩高ホテルでも、キャノン様の駐在員が買春の現行犯で1名お捕まりになられたと聞くが・・・。 屋台のカフェバー 「蓮花路」のもう一つの名物はオープン・バー。通りの両側に、1辺が4席くらいの正方形のカウンター・バーが並び、この正方形のカウンター内にバーテンダーが入って、コーヒーやフルーツ・ジュースを作ってくれる。ただし、「バー」とは言ってもカクテルやウイスキーは置いていない。アルコールはビールがメインで、あとはワインくらい。開放感を楽しみつつビールを飲む、というのが楽しみ方のようだ。 ![]() なお、アルコールの品揃は悪いが、ジュースはすべてその場でジューサーを使ってフルーツを絞ってくれる。完全な生ジュースだ。コーヒーを頼むと、ちゃんとサイフォンで入れてくれる。 ![]() 働く子供たち このオープン・バーで飲んでいると、深夜の2時、3時でも、4、5歳の子供というか幼児が、小銭をねだりに寄ってくる。で、小銭を得るのに失敗すると、うしろで監視しているおばさんにビンタされたりしている。商売の道具として売られてきた子供達なのだろう。もう少し大きい子供達は、一束が10元の花束を売りに来たりする。大きい子とは言っても8歳とか、そのぐらいの子供なので、学校にも行ってなくて、夜だけこういう商売に使われているのだろう。これはさすがに可哀相だ。でも、中国ではどこへ行っても普通に見られる光景だ。 マカオとの国境商店街 買い物が好きなら、マカオへのゲートである拱北口岸に隣接した商業ビルに行ってみると楽しいと思う。マカオと広東省を往来する人々をターゲットに、間口3メートル位の小規模商店が数百(もしかしたら千以上)も密集したショッピング・ビルがある。広大な面積の3層の商業施設に小規模店舗が密集している様子は実に壮観。 なお、注意を要するのは、「気に入ったけど、他の店も見たいから、後でもう一度来よう」と思って店を離れると、二度と同じ店には戻って来れない。気に入ったものがあったらその場で買うか、または、自分が歩いた経路の略図でも描きながら歩かないと、訳が判らなくなる。 ![]() 今回の発見は、吉田カバンの偽造品が出回っていたこと。ついに吉田カバンも国際ブランドになったのかと、感慨しきり。記念に2つ買ってきた。値段は180元と100元。 珠海へは なお、珠海への出入りは、珠海空港は便が少なく、そのうえ街から遠いので、深圳か香港から九洲港への高速船で行くのが便利。高速船は、深圳の蛇口から片道90元で50分、香港からは160元くらいで70分。香港側は、上環、九龍、空港の各埠頭との間で航路がある。 ![]() 開放的で、治安が良くて安全で、それなりに発展していて、のんびりもしている、珠海はお勧めの街です。
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